【報告】お互い離れた場所にいても、志を一つに共に闘っていく―ZENKOユース平和参加団 in 沖縄

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コロナ禍での実施

1月8~11日、「ZENKOユース平和参加団 in 沖縄」を開催し、9人が参加しました。

新型コロナウイルスの新規陽性者数が過去最高となる中、実施延期も検討しました。しかし、「自助」を強制するばかりの菅政権は医療・検査体制の拡充や生活補償も行わず、コロナそっちのけで辺野古新基地建設が続けられています。私たちZENKO(平和と民主主義をめざす全国交歓会)は“声を上げなければ殺される”という状況の中で、委縮するのではなくスピーキングツアーや中央省庁・各自治体への要請行動などを実施してきました。今回のユース参加団も、現地受け入れ側の了解―相談の上、毎日の検温、食事を弁当に変更など感染拡大防止対策を徹底して実施しました。

1月8日(金)— 戦争への憤り改めて

ひめゆり平和祈念資料館
ひめゆり平和祈念資料館

1日目の南部戦跡では、沖縄戦で亡くなった20万人という数字では見えない一人ひとりの人生に触れました。ガイドの太田光さんは戦争体験者の聞き取りを積極的に行い、言葉にできない戦争体験に思いを馳せながら、その実相を丁寧に伝え頂きました。

宮良英加さん

特に印象的であった沖縄師範健児の塔に刻銘されている宮良英加さんは、当時、戦争に対して懐疑的でした。教員の夢を持っており、戦闘で負傷し右手が腐り始めても「チョークを持つために切らないでくれ」と訴えました。結局、右手を2回も切りましたが衛生状況が悪く亡くなってしまいます。

宮良英加さん

軍国主義教育の中でそれに染まらず、自分で考える力は現在の新型コロナ、また資本主義社会を生きぬく上でも重要です。一方で、疑問を持っていても戦争に巻き込まれてしまう社会状況でもあり、生まれた時代が数十年異なるだけで自分たちと同世代の若者の夢や青春が戦争で奪われたことに強い憤りを感じました。

平和の礎
平和の礎

1月9日(土)— ドローンで現場を確認

キャンプ・シュワブゲート前

2日目は、新基地建設が進む辺野古を奥間政則さん(沖縄ドローンプロジェクト)に案内して頂きました。辺野古の浜から見える護岸は、8mと完成時の高さまでテトラポッドが。グラスボートで大浦湾を巡ると、冬場は透明度が高くアオサンゴやテーブルサンゴなどがよく見えました。しかし、フロート内には大型船「デッキバージ」が停留し、K9護岸では土曜日のこの日も台船で運搬された土砂を数十台に連なるダンプカーに積み込む作業が続けられ、工事が加速していることを実感しました。

土砂搬出現場の名護市安和桟橋ではドローンを実際に飛ばし、上空から現場を確認しました。奥間さんは「今後、沖縄県と国との法廷闘争になれば、理論武装することが必要だ」とドローンを活用した闘いの重要性を強調しました。

安和桟橋

新基地の多額の工事費用には私たちの税金が使われています。新型コロナの影響で、学生はオンラインなのに授業料は減額されない、アルバイトが減らされるなど生活に困窮しています。感染が不安でも容易に検査を受けることもできません。今こそ、軍事費ではなく新型コロナ対策に、と声を上げることが重要です。

名護市東海岸入会漁業組合では新名善治さんにより、東海岸で漁業組合が認められれば名護漁協が放棄した臨時制限区域内漁業権が復活し、埋め立てが法的に止められるという希望ある話を伺った。県に認可してもらうためには漁業組合としての実績が必要で、現在、加工品の「イカラー(セーイカに味噌などを合わせたもの)」などの販売を行っている。私たち全国で食べて辺野古を応援できる素敵な取り組みである。

1月10日(日)— 平和の武器は学習だ

3日目は伊江島へ。現地で活動する大畑豊さんのガイドで、反戦平和資料館「ヌチドゥタカラの家」「団結道場」を訪問しました。

伊江島では、激しい戦闘により島民の2人に1人が死亡。戦後、島のほとんどが米軍基地として接収されましたが、反戦地主・阿波根昌鴻さんを中心とした伊江島の住民による非暴力の闘いで、米軍から土地を取りもどしていったとのこと。米軍敷地内の農地や家も、阿波根さんたちの闘いの結果認めさせたものだと知り、驚きました。

わびあいの里では、理事長の謝花悦子さんから、お話を伺いました。謝花さんの「平和の武器は学習である」という言葉が強く印象に残っています。また「若い人が戦争を知り平和のために活動する姿に希望をもらった」と逆に励まされ、用意した激励の横断幕を受け取っていただきました。戦争を繰り返させないために私たちの世代が何をすべきかを考えさせられました。

読谷村では知花昌一さんの案内でチビチリガマを訪問。ガマに残された遺品を拝見し、集団強制死に追いやられた方々の無念さ、軍隊は住民を守らないこと、捕虜になるくらいなら死を選ばせるような軍国教育の異常さを考えました。「恨之碑」では、朝鮮半島から連行され沖縄戦に動員された方々を追悼しました。

1月11日(月)-「戦争体験」を次の世代に伝える

嘉手納基地

4日目は、道の駅かでなでは嘉手納基地爆音差止訴訟原告団事務局長の平良眞知さんから基地被害の実態を伺った。訴訟で騒音の被害は認められるものの、夜間の飛行差し止めは全く行われない。本来は静かな生活を求めて全面飛行停止を求めたいところを、門前払いされてしまうためせめて夜寝かせて欲しいという願いすらも、第三者行為論により棄却されてきた。また基地被害は普天間基地でも同様である。普天間基地爆音訴訟団事務局長の玉元一恵さんは、米軍機による事故、爆音、有機フッ素化合物PFOSによる環境汚染などあらゆる方面から生活が脅かされていると訴える。説明時にも爆音で声がかき消されるほどひっきりなしに米軍機が飛行していたのが印象的だった。

普天間基地の土地を一部取り戻して建てられた佐喜眞美術館では丸木夫妻による「沖縄戦の図」などを鑑賞した。丸木夫妻が何度も沖縄を訪れて、詳細に聞き取りをおこなったという巨大な絵は沖縄戦の悲惨さをダイレクトに伝えている。

佐喜眞美術館

火災に遭った首里城の再建が進められていますが、その下には沖縄戦時に旧日本軍の司令部壕の置かれた第32軍司令部豪が眠っています。仲村涼子さんは、その保存・公開を求めており、同世代の人が「戦争体験」を次の世代に伝えようとする姿に勇気をもらいました。

交流会 — 共に悩み乗り越えよう

夜は、これまでユース参加団を共にしてきた韓国・対案文化連帯の青年、沖縄に来られなかった日本の青年を、オンラインでつないだ交流会です。まず、この3日間の行動を報告し、学んだことを共有。また、日韓それぞれがコロナ禍における活動報告を行いました。

韓国からは、セウォル号事件の真相究明を求める街頭行動や、光州事件等に関する本の読書会、映画鑑賞会、差別禁止法制定のための「平等バス」行動、コロナ禍の青年の労働を考えるインタビューなど多様な活動が語られ、刺激を受けました。日本側からは、中央省庁や自治体への要求を通じて権利を勝ち取る活動、スピーキングツアーなどの活動報告をしました。

日韓青年の置かれた状況についての交流が続きます。日本の参加者は「コロナでオンライン授業となっても授業料はそのまま。アルバイトのシフトも減らされ、生活費・学費が稼げない」。韓国側からも「韓国の青年も同じ状況。一番の被害者は大学生だ」。日韓の青年がコロナ禍で同じ境遇にいることを確認しました。活動に青年がより積極的に参加するためにどうするかという課題についても、これからも日韓の青年が悩みを共有し合い乗り越えよう、と提起されました。

日韓青年が共同で作ってきたユース参加団。今回もオンライン交流会という形で実現し、お互い離れた場所にいても、志を一つに共に闘っていくことを確認できました。この交流を踏まえ、2021年日韓青年の共同行動方針を韓国青年と議論し実践していきます。

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ZENKOさんの投稿 2020年12月19日土曜日