2018年5月3日-6日 東アジアの平和のためのZENKO日韓連帯ツアー報告

◎第1日目 5月3日(木)
1)「東アジアの平和のための日韓連帯会議㏌釜山」

韓国からは脱原発釜山市民連帯のチョンスヒさん。文在寅大統領が脱原発宣言を行い、韓国での脱原発の運動で色々な意見が出て、1つになるのが難しくなっている面が報告された。日本からは安倍政権打倒の取り組み、辺野古を始めとした反基地の取り組み、反原発・再稼働阻止の取り組みを報告した。ディスカッションでは脱原発への教育プログラムや、マスコミに関心を持ってもらうために3ヶ月のキャンペーンなどが有意義な意見交換が行われ、国際連帯の意義が改めて確認された。

            

◎第2日目 5月4日(金)
2)密陽(ミリャン)ボラ村

超高圧送電塔の現地視察。新古里原発からの送電塔を作る話があがり、2005年から13年間住民は闘っている。
765KVは世界でも最も高電圧で、高さも40階建のビルに相当する。その電圧は送電線の10m以内に人が近づけば死ぬ。雨粒で植物が枯れるほど。
三人兄弟で農家をしていた76歳のイ・チウさんは抗議の焼身自殺をした。その時に履いていた白いゴム靴の焼けただれた跡が現場に残っている。
真っ直ぐに送電塔を引くと、15年前の密陽(ミリャン)市長の親戚の家の近くを通るので、そこを迂回するようにこの地域
に送電塔が引かれる計画となった。

3) 7年前に開設された蜜陽送電塔対策本部の事務所を訪問。

ここで寝泊まりしながら現場にも行っていた。
「南北首脳会談のように韓日で手を携えれば原発はなくせる」「人が生きていく上で最も重要なものは『安全』」「密陽の闘いで765KVの送電塔は今後作られなくなった。韓国の電力政策を変えた」など現場で闘っているハルモニ、ハラボジたちの言葉一つひとつが重たかった。

4)国鉄の「慶州駅」前からデモを行う。

蔚山と慶州の脱核(脱原発)運動をしている市民との日韓連帯だ。
慶州は奈良や京都のように歴史ある街だが全国の核廃棄物施設が59%集中している。核廃棄物施設の反対を訴えて歩道を歩く。少し歩いたら休憩も挟む。
商店街の中では小さな集会を開く。若者もチラシの受け取りが良く、集会に耳を傾ける学生も。福島原発事故の実態もアピールすることができた。

5)「東アジアの平和のための日韓連帯会議in慶州」

韓国からは脱核慶州市民連帯のイ・サンホンさんから慶州の脱原発の運動が紹介される。
韓国の原発は現在24基あり、これが28基まで増える予定だ。東海岸に集中しているため事故が起きたら日本が被害にあう。そのため脱核(脱原発)には日韓の連帯が必要である。慶州から27km離れたところに原発が集中している地域があり、原発銀座から30km県内に130万人が居住している。
慶州の課題として次の5つ提起された。

①老朽化した月城(ウォルソン)原発1号機の廃炉
⇒2012年11月に運転制限期間を超えたが、それを2015年2月に延長した。住民は裁判を起こし、決定は無効との判決を勝ち取った。

②地震の危険性
⇒仏国寺の石碑から1200年前に地震が来たので建て直したとの記録がある。韓国政府は大きな地震は来ないと言っているが、最近地震が多発している。

③核廃棄物処理の問題
⇒月城原発3、4号機の予定地に核廃棄物処理場がつくられようとしている。しかし、地層が弱く、地下水が漏れる問題があり、排水を300年間繰り返さなければいけない。

④中間貯蔵施設建設阻止
⇒月城原発から使用済核燃料が年間350トン出るが、使用済核燃料の50%以上が慶州に保管されている。これ以上、中間貯蔵建設を建設しないように要求している。2020年には現在の貯蔵施設は飽和するため、対策をしないと原発が稼働できなくなる。

⑤移住の問題
⇒2014年8月から移住対策要求の座り込みをしている。福島原発事故以降、万が一の場合被ばくし続ける危険性を感じており、政府に対策を要求している。移住対策法案が2016年11月に提出されたが成立はしていない。4原発地域の雨を分析すると月城原発の近くが最もトリチウムの値が高い。また住民の尿検査も原発に近い住民の方からトリチウムが検出されるなど被ばくは今も深刻な問題である。

慶州では2014年に「慶州核安全連帯」、2016年の地震の後「脱核慶州市民連帯」という団体を結成し、毎週木曜の脱核デモや電力会社前での中間貯蔵施設建設反対の集会などを行っている。
日本からも「日韓両政府の進める軍国化の問題」や「福島原発事故以降の反原発闘争と核廃棄物処理の現状」、「放射能汚染による健康被害の現状」、「原発事故避難者の現状と政府の対応」について報告をおこなった。

◎第3日目 5月5日(土)

6)月城(ウルソン)原発

原発の近くのエナジーファーム内に反原発のテントが設置されている。
今日で1350日。まるで辺野古や経産省前のテントのようである。市民運動と電力会社、政府との力関係により撤去はされていない。テントの前には棺のオブジェが。韓国の伝統的な棺を置くことで原発があれば自分たちは死んでしまうことを表している。また近くにある原子力発電所のプラントに対して、棺の死から「原発はもう終わり」ということも示している。この棺を引っ張りながら道行く人にアピールをしているのだという。
海岸に出ると600mの距離に月城原発が見える。制限区域であるにも関わらずキャンピングカーが海岸横の駐車場にずらりと並び家族連れや浜辺で水遊びや釣りをしている人の姿が。排除されないのは原発と共存できるというイメージをつくりたいからであるとのこと。しかし、この海の海女の3分の1の12名は甲状腺がんの症状が出ている。済州島の海女が健康であるのと比べると汚染水など放射能の影響は明らかである。

7)テント村の中で、月城原発近くの住民であるファン・ブンヒさん(女性)とキム・ジンソンさん(男性)に話を聞く。

ファンさんは3年ほどこのテントで活動している。電力会社は原発が危険であることを知らせてこなかったが、福島原発事故で騙してきたことが分かった。電力会社は事故が起きれば被曝の可能性があると言うが、山も空気も食べ物も汚染され日常的に被ばくをしている。住民の尿からはトリチウムが検出されたが、政府は基準値の年間1mSv以下の地域であるという。
ファンさんたち住民は原発の稼働している40年間被ばくし続けてきた。また土地を売って移住しようにも原発の近くの土地など買い手がつかない。出て行きたくても行けない、事実上の収容所である。政府や電力会社が原発のおかげで発展したのであれば、私たちの土地を国が買い取り、移住させるよう要望している。
月城原発は914mが制限区域となっているが、それはカナダで作られて、そのカナダの基準が914mだからそう定めただけで何の根拠もない。政府は制限区域を1つの原発だけが事故を起こすと2時間以内に避難しないと死んでしまう区域と説明しているが、大きな地震になれば6つの原発の複数が事故を起こす可能性は高い。
また内部被ばくが考慮されていない問題もある。韓国の食料の基準は日本の基準に従っている。日本の基準が厳しくなれば韓国の基準も厳しくなる。日本はあれだけの事故が起きたのにその被害が正確に発信されていないのではないか。積極的に日本から発信することで、まだ事故の起きていない韓国の原発をなくすことにつながる。
この地域で92人の甲状腺がんを発症した人が電力会社に訴訟を起こしている。また原発から10km以内に5年以上暮らして、甲状腺がんの手術をした人に集団訴訟の募集をしたところ全国で620人が立ち上がった。
文大統領は候補であった時にこのテントを訪れ、地震後も真っ先に駆けつけた政治家であり、移住の権利の立法化に期待しているが、まだ実現していない。
日本の安倍政権は原発を推進している。韓国では同じく推進していた朴槿恵政権をろうそく革命で倒した。日韓一緒に連帯して核のない社会を作りましょう。

8)星州(ソンジュ)ソソン里へ

THAAD配備工事阻止現場であるジンバッ橋に到着。ここに来るまで警察車両が何と43台、1000人ものの警察が米国のTHAADミサイルの工事を強行するために警察が動員されていた。こんなに警察が動員されるのはろうそく革命以降。深刻な事態にならないよう国防部と「南北首脳会談を控えているのでTHAADの工事は延期してくれ。北の脅威が理由であればその理由がなくなる」と交渉をしてきたにも関わらず、4月23日には、4000人を超える警察機動隊を不当に動員し車両の搬入を強行した。
THAAD配備工事阻止のために座り込む住民。辺野古や高江と重なる光景だ。

9)THAAD工事阻止の座り込み。

ZENKOから「南北の緊張緩和、平和を作ったのは韓国民衆の力。日本でも朴槿恵退陣の闘いのように、安倍を退陣に追い込んでいく」との連帯あいさつに会場からも拍手をもらう。現場から帰る車に対してTHAAD配備撤回を訴える。

10)20時からのろうそく集会に参加。

毎週水曜日に平和集会、毎週土曜にろうそく集会が行われている。
「私たちの動きで南北首脳会談が実現した。板門店宣言で土からでも上からでも攻撃をしないという内容が確認されたためTHAAD 配備は必要ない。米軍はまだTHAAD配備をしようとしていまが、絶対に工事を阻止する。成果を得るためには苦労があるが、日本から来た人とも連帯しTHAADを引き抜きましょう。」
「THAADを抜こう」とシュプレヒコール。
「南北首脳会談で良いところまでいきましたが、でもここで油断してはいけません。彼らが全員出ていくまで闘争を辞めてはいけない。雨の日も雪の日も、ここに生まれ住んでいるハルモニ(おばあさん)が参加しています。」
教職員組合の女性4人もアピール。「THAADが配備されると聞いて子供たちは脅えていた。子どもたちと一緒にTHAADがなくなる日まで私たちも闘争していきたい。THAADを抜いて、平和を植えましょう」
集会は歌あり、踊りありの楽しい雰囲気。状況が厳しくても明るく闘うのは沖縄と同じだ。
ZENKOも地域から政治を変えていく決意を発言し、「座り込めここへ」を歌い、連帯を深めた。

◎第4日・最終日 5月6日(日)
11)ソソン里。今日は雨のため早朝のTHAAD 抗議行動はなかった。

今月、日本で開催する「今こそ対話で東アジアに平和を!ZENKO日韓連帯スピーキングツアー」にゲストスピーカーとして参加するカン・ヒョンウクさんに現状の話を伺う。
2017年9月7日強行され、発射台6基とレーダーが搬入されたが、環境評価が通っていないにも関わらず一気に搬入したことが問題である。環境評価が通っていないため、工事は計画通りには進んでいない。
今、行われている工事は昨年12月に予定されていた工事である。4月12日に一度工事車両の搬入を防いだが、10日後の22日に警察を増強し、4月23日から工事が強行されている。
現在残っている工事は、米軍の宿舎建設、発射台のコンクリートでの固定、道路の整備である。現在、行われているのは米軍の宿舎の工事であり、完成すれば長期滞在ができてしまうため、国防部に首脳会談が終わるまで工事はやめるように言ったが、無視されている。宿舎はあと3ヶ月ほどで工事が終わる。
発射台のコンクリート固定と道路整備は環境評価が出てからの工事となるが、環境評価は年末にしか出ない。
米軍は130人ほど、韓国軍を合わせると400人ほどがすでに配置されているが、何をしているのかはよく分からない。発射台で何か作業している様子やゴルフをしている姿を見た。
ソソン里の住民は生活が破壊された。ほとんどの人は農業をしているが、昨年は農業ができなかった。そのため、今年は自分の生活を優先してもらい、連帯している人が座り込みを行なっている。またいつも大量の警察が村に来ることへの心理的なトラウマが大きい。